民家が建ち並ぶ住宅地では、3面を建物に囲まれた敷地は珍しくありません。通風や採光、そしてプライバシーの問題など、快適な住環境を確保するためにクリアする問題は多いですよね。今回ご紹介する環境建築計画によるこちらの住まいでは、L字型の平面プランを採用することでこれらの問題を解決して、居心地の良い空間を実現しています。では早速見て行きましょう。
敷地は3方向を住宅に囲まれ、幅6mの道路に接道する住宅地の一角に位置します。南側の隣地には大きな建物があり、特に採光確保の面で配慮が必要でした。そこで建築家は建物をLDK棟、玄関・水廻り棟、そして個室棟の3棟を組み合わせたL字型の平面とし、南東側にオープンスペースを設けるプランとしました。こうすることで隣家による日影を避けてLDK棟に十分な光が届きます。
大きな開口から暖かな光が溢れだし、周囲をやさしく照らす姿が印象的です。L字型のプランおよび建物の形状はテクニカルな面から導き出されたものではありますが、結果的にはこの住宅を風景の中で特別な存在にしています。
とても明るいLDK棟の様子です。大きなテラス窓以外にも、上部もガラスで囲まれており、陽光がさんさんと降り注ぎます。このLDK棟には逆勾配のいわゆる「バタフライ屋根」が架かっています。その勾配に沿って外部に向かって斜めに伸びる天井は一番高い部分で3.5mあり、空間をより広がりのある開放感あるものにしています。
子供の就寝部屋も兼ねている和室。縁無し畳でシンプルモダンな雰囲気です。随所に設けられた開口から、障子を通して柔らかな光が差し込みます。落ち着いた雰囲気なので子供たちもぐっすり眠れることでしょう。
子供部屋には窓際に広々とした勉強机が造り付けられています。これだけゆったりとして天板ならば何人かで同時に座って作業できますね。また机の下の床は堀込まれているため、兆時間でも快適に座って作業をすることができます。