ガラスにはクリアでミニマルかつモダンな印象を持たせてくれるような効果があります。近年では特に建築技術や新素材の開発に伴い、ガラスのファサードをもつモダンな建物が増えてきています。これを自宅にも取り入れたい、と思われる方が出てくることも不思議ではありませんよね。しかしながらファサードに透明な素材を取り入れるとなると、メリット・デメリットがあるもの。家を建てる前にしっかり学んでおきましょう。
ファサードをガラスにすると、かなり開放的で明るい印象の家が作れる、ということは想像に難くないと思います。しかしながら、その立地によっては暮らしづらい家にもなりかねません。
例えばこちらは鹿児島県の建築家・アトリエ環建築設計事務所の手がけた東シナ海を望む家。文字通り海に面した土地に建てられたモダンな箱型の家には、壁の一面をガラス張りとしています。住空間を高い位置に設けることによって、一目を気にすることなく開放的な住まいを実現しています。
Photo: 三好芳昭
次にご紹介するこちらの建物は、歯科診療所なのだそう。一見するとそれとはまったく気づかないようなおしゃれなファサードです。道路に面する側をガラス張りとしていますが、さらに雲の描かれたシートを組み合わせることにより、内部を見えづらくするだけでなく、アーティスティックな印象の建物へと変身させています。日中は爽やかな雲と見えますが、陽が落ちて内部に明かりが灯ると幻想的な雰囲気へと変化していきます。思わず見とれてしまうファサードです。
自然に囲まれた土地に家を建てようとする場合、特に人の目を気にすることもなかったりしますよね。こちらはそんなガラス建築です。壁面をすべてガラスとすることにより、眼前に広がる大海原を心行くまで堪能できる空間へと作り上げています。クリアな心地よさを楽しむべく、内装も白や透明なモダン家具でコーディネートすることにより、文字通り自然と一体化できそうな家となっていますね。とても贅沢な建築スタイルです。
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ファサードにガラスを取り入れるということは、一般的に考えると、プライバシーの確保はどうしよう?と思われるでしょう。殊に住宅地では気になる問題です。例えばこちらのお宅では、一階のリビング空間に沿うような形でガラスのファサードが施されています。窓の向こうにはぶどう畑が広がり、特に人目を気にする必要はなさそうです。住宅地で大きな窓を施すのであれば、瞬間調光式のガラスを取り入れると、透明・不透明をスイッチで切り替えられて便利そうですね。
ガラスを多用することによって発生しうるデメリットとして挙げられるのが、室内の温度管理。陽が入りやすいということは、気温が上がりやすいということになるのですが、確かに生活空間が温室のようだと困りもの。最近では、ガラスや窓の構造に遮熱効果のあるものを取り入れることによって、こうした問題を解消することができるようになりました。開閉できないようなガラスのファサードなどでは、特に取り入れたい構造です。