家づくりに際してのクライアントの要望は「コートハウスのような閉じた住まい」。コートハウスとは建物や塀で囲まれた中庭を持つ住まいの形態で、外部に閉じ、内部に開けた空間構成を持ちます。住宅地でのプライバシー確保や防犯対策に有効な形ですが、建築家によると閉鎖的な構成の家は、塀や外壁が増えコストが嵩むなどのデメリットもあるとのこと。そこで緩やかに町並みや外部へつながる特徴を持つ昔ながらの沖縄の家をヒントに、風土を生かしたコートハウスが計画されました。プラソ建築設計事務所が手掛けたこちらの住まい、早速見て行きましょう。
コンクリート打ち放しのモダンな外壁に、石壁がアクセントを添える外観。コートハウスを基本としながらも、適所に開口部が設けられており、プライバシーを保ちつつも通風、採光も適度に確保しています。また塀を過剰に作らないことで、敷地を有効利用しつつ、コスト削減を実現しています。手前に大きく開けている場所が駐車場、その奥には坪庭、また石壁を挟んで駐車場の向かい側に庭が配置されています。
玄関ホール部分には外構に使用されている石壁と同様の壁が配置され、外部空間と内部空間のつながりを感じさせます。内部はコンクリートの外壁とは違う趣の温かみのあるインテリアが印象的です。
リビング、ダイニングは広々とした一続きの空間。上部は吹き抜けになっていますし、庭に面して大きな開口が確保されているので、明るく開放的な雰囲気です。
コンパクトながらたくさんの収納が確保された機能的なキッチン。ダイニングスペースに向けて壁が一部穿たれているので料理しながらリビング、ダイニングの様子をうかがうことができます。
和室の横に設けられているのがこちらの坪庭。上部は全面的に開けている半外部空間です。一部に植栽ゾーンが設けられているため季節の草花を和室からも楽しむことができます。
夫婦+3人の子どもという家族構成のクライアント一家。2階には吹き抜けに面して3人の子どもたちそれぞれの個室が配置されています。このように引戸を閉めればすっきりと、開放すれば1階の空間とゆるやかなつながりが生まれ、家族同士の気配を感じられる空間となります。