『抜ける』がテーマの住宅とは?

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スルウ, 一級建築士事務所 楽工舎 一級建築士事務所 楽工舎 Case moderne
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本日紹介するのは和歌山市に拠点を置き活動する楽工舎が手掛けた住宅です。「スルウ」と名付けられたこの住宅、名前の由来は『through=抜ける』という意味から。『住宅』からイメージする言葉なら『留まる』の方がしっくりくる気がするのですが… どんな住宅なのでしょうか、さっそく見ていきましょう!

敷地&外観

敷地は約40年前に区画された分譲地で、道路がL字型に曲がる角にあり、接道が4mとなかなか厳しい条件の土地でした。周辺環境は、東・南・西と住宅が押し迫っており、唯一開けている北も幹線道路に面しています。そこで閉じられたファサードでプライバシーを確保し、接道部分から駐車スペースを確保して一階部分に個室群と収納スペースを配置、家族が集う生活の場を二階に配置しました。白とシルバーを基調とした外観はミニマル。しかし単調にならないように玄関の庇に原色の赤を足して差し色に。

テーマ

クライアントからの要望は、『一年を通して快適に過ごせる家』『窮屈にならないよう配慮』『開放的で明るく遊びのある家』というものでした。例え閉じられたファサードだとしても、周辺環境に対して閉鎖的になってしまわないように建築家がテーマとしたのが『囲みながら抜ける』ということ。こちらは駐車スペースからエントランスを眺めたところ。バルコニーのようなものと青空が見えますがどういうことでしょうか?

外部吹抜けに面したバルコニー

実はこの住宅、ご覧のように真ん中にぽっかりと空が見えるロの字型の建物なのです。さきほど見えていたのはリビングから繋がる南側のバルコニー。屋根のある外と内の中間領域で、閉鎖的にならないようこの外部の吹抜(垂直方向の抜け)に隣接させてあります。外観からは見えなかったように壁に囲まれているのですが、その壁の内側には青空への吹抜けがあり、開放感とプライバシーを両立させたバルコニーなのです。

水平方向の抜け

こちらはバルコニーからリビング、そしてその先の北側バルコニーを眺めたところ。北側はこの敷地で唯一開けた方角なので、バルコニーを設けることで先ほどの外部吹抜けによる垂直方向の抜けに加え、水平方向の抜けも確保。隣家に囲まれた敷地ながら、こうして抜けのポイントを抑えることで開放感を獲得しています。

室内の抜け

こちらはリビングルーム。白と木材でまとめたナチュラルな空間です。特徴はカーブを描いたかまぼこ型のボールト天井となっていること。こうすることで天井面が曖昧となり、圧迫感の減少と室内での抜けを演出しています。

メリハリ

外観同様室内も光を反射し、部屋を広く開放的に見せる白がベースとなっていますが、このように一部鮮やかな青い壁(黒板塗装)を設けることで、抜けだけでなく求心力もあるメリハリのついた空間に。視界に入る度に心がシャキッとしそうな鮮やかさです。年ごとに家族のテーマカラーを決めて全員でペイントするのも楽しそう。

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