センスと個性が光る、フレンチインテリアのリノベーション

K.Matsunaga K.Matsunaga
SPRAY, 空間社(Kukansha) 空間社(Kukansha) Cucina in stile classico
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近年の住宅事情では、住宅を持つ際に新築をする場合のほか、中古住宅をリノベーションするという選択肢も増えつつあります。中古物件ならではの素材を生かしながら自分好みにできること、新築よりも土地や予算での可能性が広がることなどが挙げられます。「新しいものが良いもの」という考えは従来のものになりつつあるのかもしれません。今回ご紹介する物件もそのひとつ。仕事で長く海外生活をしていた経験のある施主が、どういう暮らしをしたいのかというイメージを固め、自分らしく改装できる中古住宅を新しい住まいに選びました。空間社(KUKANSHA)が施主の思いを汲み取りながら提案をし、まるでフランスのインテリアのような雰囲気の住まいに仕上がっています。

フレンチカラーの壁面が印象的なダイニングキッチン

深いカーキとパープルカラーが印象的な壁面は、施主が自らペイントをしたものです。住まい手の持っていた家具や雑貨がアンティーク調のものが多いことで、その雰囲気に合うように内装の素材やカラーがセレクトされています。壁面といえばホワイトが多く見られますが、こうして今回の家のように住まい手のスタイルがはっきりとしている場合はそれに馴染むようなインテリアとすることは自然な流れとなるでしょう。好きな家具や雑貨と合わせて、自分のスタイルに合った家に住むことができる喜びは毎日の暮らしの豊かさをより高めてくれるに違いありません。

素材とカラーを生かしたキッチンスペース

キッチンは、背面の収納と合わせてオーク材の扉が採用されています。落ち着いた木目が家具のような佇まいのキッチンは、壁面のカラーやタイルの個性をより引き立てる存在となっています。火元側の壁面にあしらわれたランタン型のタイルは、アンティーク調のブラウンやゴールドが織り交ぜられ、キッチンスペースをさらに優美な雰囲気に仕立てています。そしてキッチンの上には手元用の照明としてそれぞれ違うデザインのガラス製ペンダントライトが3灯下がっており、ひとつひとつの個性が調和しながら灯りをともすことでこのキッチンに立つ時間をさらに特別なものとしてくれることでしょう。

曲線が空間を彩る螺旋階段

この室内をさらに印象的にするのは、鉄骨製の螺旋階段です。柔らかなカーブを描きながら2階への動線を作る螺旋階段は、フレンチインテリアの空間にぴたりと当てはまります。その存在だけで優美で柔らかな空気を作り出す姿はまさにこの住まいにぴったりのシンボル。また室内の床はヘリンボーン貼りのフローリング材が採用され、どこかレトロで上品さを感じる雰囲気がこの室内に華を添えています。光が当たると独特な模様を浮かび上がらせるヘリンボーンのフローリングは、温かさと雰囲気作りを担う最適なセレクトです。

ステンドグラスが印象的なドア

大きなステンドグラスがはめ込まれたホワイトのドアは、もともとあったものからこの家に合わせた雰囲気にするために交換されました。それぞれ違うデザインのステンドグラスがはめ込まれ、オリジナル性のあるカラーリングは光を通すたびに独特な表情を見せてくれる存在です。深いグリーンの壁面とこのホワイトのドアの組み合わせは、まるで本当のフランスにあるアパルトマンのようなこのドアは、開け閉めをするたびにここが日本であるということを忘れてしまうような雰囲気となっています。

小物にまでセンスが光るサニタリースペース

さらにこの家のために特別に製作された洗面台は、浴室とつながるムラのあるグリーンのタイルと、洗面台正面の赤いモザイクタイルが華やかな雰囲気で空間を彩っています。照明器具や、アンティーク調のミラー、引き出しの取っ手、トイレのペーパーホルダーなど細かなところにもフレンチインテリアの個性に合ったものが採用されています。装飾が華やかな分、洗面台は家具のような木調の面材が落ち着きを与え、空間にまとまりをもたらしています。サイドにはタオルウォーマーが設置され、使い勝手の便利さと温かさを加えることでこの住まいでの暮らしがより快適になるような配慮がなされています。家の中の随所に自分好みの色がある喜びは、より日々の暮らしが輝かしいものとなることは間違いありません。

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