引き戸と開き戸の2つのタイプに扉の種類は大きく分類することができますが、当然それぞれにメリット・デメリットがあります。そこで今回は、引き戸と開き戸を比較しながら、どのような点でそれぞれの扉タイプがより魅力的なのかを見ていきたいと思います。室内や屋外、あるいは浴室やリビングなど、扉を設置する場所によっても要求される機能や使いやすさは変わってきますので、実際の生活をイメージしながら1つ1つ適した扉タイプを選んでいきましょう!
引き戸の魅力的な点は、何と言ってもその開け閉めのしやすさでしょう。戸を左右にスライドさせるだけなので、開け閉めに身体をほとんど動かす必要がなく、車椅子や高齢者の方にとっては特に使いやすい戸のタイプです。それに対して開き戸は、戸を前後に押したり引いたりする必要があるため、開け閉めに身体を大きく動かすことになり、開け閉めが大変だと感じる方も多いでしょう。
扉を開けて風を室内に取り込みたい際、引き戸であればその開く幅を自由に動かすことができ、風の入ってくる量も調節することができます。開き戸でもストッパーなどを使うことで、その開き幅を調節することができますが、開き戸を開けっ放しにしておくと通行の邪魔になってしまうこともあります。住まいの通気性を向上するにはトップライトも有効です。それについては、「トップライトが果たす役割まとめ」も参考にしてみて下さい。
壁に沿ってスライドする引き戸であれば、開口の前後に物が置いてあっても戸の開閉に支障がないので、扉周りの家具の配置などをその都度自由にアレンジすることが可能となります。こちらのCAMP DESIGN INC.が手掛けた住まいのように、テラスのベンチや観葉植物の配置を戸の付近も含めながら、その時々の使い方に合わせて自由に使いやすくレイアウトすることもできます。
写真:Kentahasegawa
近年、高気密高断熱の住まいが増えていますが、より気密性を高めたいという方は引き戸よりも開き戸をおすすめします。横にスライドして開け閉めする引き戸は、戸が滑るためにどうしても端に隙間が必要となります。そのため、特に外壁にある開口の気密性を高めるには開き戸が有利となります。また、開き戸は遮音性にも優れるため、楽器を利用できる防音室やトイレの扉としても有効となります。
引き戸は横にスライドして開閉するためにレールが必要となります。そのレールが床にあると、その中に埃が溜まったり、ゴミが詰まってしまうなど汚れが溜まりやすい場所にもなりますし、掃除もしにくい場所ともなります。そうした掃除のしやすさでもレールの必要ない開き戸は有利となります。ただ、引き戸でも扉枠の上端から吊るすタイプのものは床にレールが必要ないので、レールの汚れや掃除が気になる方はそうした引き戸のタイプを選んでみてもいいかもしれません。
戸が1枚でなる引き戸の場合、戸を開けるためにその横に戸袋のスペースが必要となることから、その部分にコンセントやスイッチ、あるいは壁のデコレーションが付けられないことがでてきます。そうした点では、戸袋が必要とならない開き戸は、扉の真横の壁まで自由に使い事が可能となります。どうしても引き戸にして壁にデコレーションをしたいという方は、扉が壁の中に収まるような戸袋である引き込み戸にすることもできます。