インターネットの検索エンジンで有名なグーグルだが、その自由な社風でも知られている。オフィス内にカフェやレクレーションスペースが設けられるなど、自由な発想を持って仕事ができるような空間を重視している。そんなグーグルは新本社ビルの建設を予定しており、その計画案を先日公開した。今回はそんな新本社ビルの計画案について紹介したいと思う。
建物の設計を行ったのは、デンマーク海洋博物館の設計で知られるBjarke Ingelsと、ロンドンオリンピックの聖火台のデザインで知られるThomas Heatherwick。建築やデザインの第一線で活躍する人物がインターネット分野のトップ企業のために設計デザインを行うことになった。そんな建物が建つ予定となっているのは、アメリカ西部の都市マウンテンビュー。そこにはグーグル本社があり、多くの関連ビルが建ち並んでいる。
新しく建てられる建物は自然を強く意識したものとなっており、巨大なオフィス空間が威圧的なものにならないように考えられている。そのため建物が与えるのは、重々しさを感じさせない軽やかな印象。それはグーグルで働く従業員が自由な発想を抑え込まないように、開放的な雰囲気を生み出すことになるだろう。
建物の最大の特徴となるのは半透明な膜のような屋根となるキャノピー。それは建物内の気温や天候を安定させるだけでなく、自然を取り込んだ温室のような空間となる。屋外エリアは遊歩道や庭などが設けられるため、大きな植物園のようにも見えるだろう。
このような本社ビルの建設はそこで働く従業員ためだけのものではない。本社ビル建設の目的は建物だけでなく空間や環境を作り出すこと。それらは閉鎖的なものでなく開かれたものを目指している。そのため多くの空間は周辺に住む住人にも開かれたものとなる。そして周辺に作り出される公園だけでなく、キャノピー内に広がる空間も、人々が気軽に訪れることができるようになる。
半透明な膜であるキャノピーに覆われるのは様々な空間。自転車を使うことができる通路もあれば、ヨガやスポーツをできるような自遊空間もある。それ以外にも、カフェ、レストランの出店も予定されており、会社のビルではなく、複合的な商業施設のような空間を生み出すことになる。
キャノピー内は天候に左右されないため温室のような場所となる。そこで問題となるのは日光やそれによる気温の上昇。そこでキャノピーの内側には傘のようなもの取り付けられている。日差しが厳しければ、傘が開いてキャノピー内への日差しを遮ることができる。
グーグルはインターネットの分野で革新的なビジネスを行うトップ企業。その自由な発想で従来の枠組みを打ち破るようなことを行ってきたが、その本社ビルも今までの発想を打壊すような斬新なものとなる。それはグーグルの企業理念を建物として目に見える形にしたものと言えるだろう。このような新本社ビルは会社の理念を世に広めるだけでなく、今後の建築のあり方にも大きな影響を与えることに違いない。